*救援会として、4月15日に東京地方裁判所に対して、以下の申し入れを行いました。
東京地方裁判所刑事第7部
裁判官 野澤晃一 殿
2019年4月15日
12.12靖国抗議見せしめ弾圧を許さない会
私たちは、昨年12月12日、靖国神社で抗議行動をおこなった郭紹傑(グオ・シウギ)さんと、彼の行動を記録していた嚴敏華(イン・マンワ)さんの逮捕・起訴、そして不当な長期勾留に抗議し、公判闘争を支援する有志からなるグループである。
2人は、靖国神社外苑に、「正当な理由なく靖国神社の敷地内に侵入した」建造物侵入の罪名で起訴されている(事件番号:平成30年検第35907/35908号)。同神社外苑は、日常誰でも自由に出入りできる場所である。郭さんはそこで「南京大虐殺を忘れるな」と書かれた横断幕を広げ、日本軍国主義、南京大虐殺、靖国神社A級戦犯合祀に対する批判のアピールを行った。12月12日という日付は、1937年、日本軍によって引き起こされた南京大虐殺の渦中にあった日である。こういう日に、被害国の民衆が靖国神社という象徴的な場所で抗議の声を上げることは、まったく正当な行為だ。郭さんの行動は、全く非暴力の、表現の自由に属する行動であった。そして嚴さんは、郭さんの抗議行動をビデオで撮影していただけである。
戦後日本政府は「南京大虐殺」や「慰安婦問題」など、日本の侵略の歴史的事実を一貫して矮小化し、実質的に否定し続けてきた。歴史修正主義の潮流は、とりわけ安倍政権の登場によっていっそう強まった。被告人の暮らす香港においても、安倍政権発足以来、日本総領事館は戦争責任問題に関する香港の市民団体の申し入れの文書の受け取りさえ拒否するという態度をとり続けている。今回の郭さん、嚴さんに対する逮捕・起訴、長期勾留もまた、アジアの民衆の告発に耳を貸さず、公然と批判の声を上げることは許さない、という政権の強権的な態度に貫かれているのだ。
2人に対して、逮捕以来すでに4か月にわたる長期勾留攻撃がかけられている。度重なる弁護団による保釈申請を、裁判所は却下し続けている。まさしく、世界的にも注目され指弾されている「人質司法」そのものであり、実質的な刑罰の先取りと言わざるをえない。
さらに、週2回のみ許可されている中国語での面会は北京語に限られ、彼らの母語である広東語の使用は許可されない。また、3月7日から始まった公判において、裁判所が準備した広東語の法廷通訳は語学のレベルが低く、法廷における被告人の反論や防御の権利は大きく侵害されている。
このような人権侵害は、速やかに是正されなければならず、裁判所はそのために努力する義務がある。
裁判所は、ただちに郭さん、嚴さんに対する保釈請求を認めよ。